« 麗らかな秋の日 | トップページ | 和歌劇 「月と黄金」 その2 »

和歌劇「月と黄金」

伊豆大島に甚大な被害をもたらした台風26号が去り、次いで発生し

南の海上でのんびりしていて行方が気になった台風27号、28号。

それも徐々に進路を南へと変え昨日の午前中に遠州を過ぎ去った。

そして昨日の夕刻、二度目の和歌劇を観に行ってきた。

前回は今年5月、細江の宝林寺での公演だった。

http://bonjour-pooh.cocolog-nifty.com/blog/2013/05/post-c285.html

 

今回の場所は浜松市曳馬の天王山福巌寺(ふくごんじ)

17:00開場 17:30開演 26,27日の二日間

テーマは落日の英雄・源義経を慕い続ける芸能者 静御前と

文明から逃避するように旅を続ける詩人 西行

二部形式になっていて、

第一部は「やまとうた」音楽で綴る万葉集

第二部は和歌劇「月と黄金」

第二部の和歌劇はこの夏、ポーランドのザモシチ芸術祭で公演した内容

とのこと。

 

第一部 やまとうた ~音楽で綴る万葉集

 

明日香風 志貴皇子(しきのみこ)万葉集51

萌え出づる春 志貴皇子 万葉集1418

秋の七草 山上憶良 万葉集1537・1538

高円の秋萩 笠金村 万葉集230・231・232

子をおもう歌 山上憶良 万葉集802・803

天の鶴群(あめのたづむら) 詠み人知らず 万葉集1791

明日香慕情 山部赤人 万葉集324・325

 

第二部 和歌劇「月と黄金」 芸能とは何か/和歌の意味とは何か

主演  歌枕 直美

脚本・総監督  菅沼 登

作曲  歌枕 直美

 

「明日香風」 志貴皇子 万葉集51

采女の袖吹きかへす明日香風 都を遠みいたづらに吹く

 

飛鳥浄御原宮から藤原宮へと都がうつり采女の姿も幻となってしまったなぁ。

風を詠むだなんてなんと風流なんだろう・・・

 

「萌え出づる春」 志貴皇子 万葉集1418

石走る垂水の上のさわらびの萌え出づる春になりにけるかも 

 

雪解の水の音、あたたかな春陽に萌え立つ蕨の新芽に心も踊るなぁ。

ワクワク感満載!

 

「秋の七草」 山上憶良 万葉集1537・1538

秋の野に咲きたる花を指(および)折り

かき数ふれば七種(ななくさ)の花

 

萩の花 尾花 葛花 なでしこの花 女郎花また藤袴 

朝貌(あさがほ)の花 

 

あるがままの自然に心を寄せる憶良のまなざしを感じる歌。

 

「高円(たかまど)の秋萩」 笠金村 万葉集230・231・232

梓弓手に取り持ちてますらをのさつ矢手(やた)挟み立ち向ふ

高円山に春野焼く野火と見るまで燃ゆる火を何かと問へば

玉鉾の道来る人の泣く涙こさめに降れば白栲の衣ひづちて

立ち留まり我に語らくなにしかも もとなとぶらふ

聞けば哭(ね)のみし泣かゆ語れば心ぞ痛き

天皇(すめろき)の神の御子(みこ)のいでましの手火(たひ)の光ぞ

ここだ照りたる

 

高円の野辺の秋萩いたづらに咲きか散るらむ見る人なしに

 

御笠山野辺ゆく道は こきだくも繁く荒れたるか久にあらなくに

 

人々に深く慕われていた志貴皇子(しきのみこ)の葬列の高円山まで続く

送り火が野火と見紛うほど赤々と燃えている。

その野辺に咲いてはこぼれる秋萩を今はもう見る人はない・・・

御笠山の野辺はなぜこんなにも荒れ果ててしまったのだろうか?

志貴皇子のひととなりに触れてみたいと思う歌。

 

「子をおもう歌」 山上憶良 万葉集802・803

瓜食めば子ども思ほゆ栗食めばまして思(しの)はゆ

いづくより来たりしものそ眼交(まなかひ)にもとな懸りて

安眠(やすい)し寝(な)さぬ 

銀(しろがね)も金(くがね)も玉も何せむに

勝れる宝子に及(し)かめやも

憶良、70になって詠んだ歌とのこと。

誰が聞いてもわかりやすい、心にすっと溶け込んでくる歌。

「栗食めば・・・」の辺りで歌枕さんはグッと詰まって涙を浮かべた。

私達も皆それぞれに持つ子への思いがリンクして涙を誘う歌となった。

 

「天の鶴群(あめのたづむら)」 詠み人知らず 万葉集1791

旅人の宿りせむ野に霜降らば我が子羽ぐくめ天の鶴群

 

遣唐使となり厳しい旅を命ぜられた息子を一心に思う歌。

「子をおもう歌」「天の鶴群」は第一部のメインテーマなのだろう。

 

「明日香慕情」 山部赤人 万葉集324・325

みもろの神なび山に五百枝(いおえ)さし繁(しじ)に生ひたる

栂(つが)の木のいや継ぎ継ぎに玉葛絶ゆることなく

ありつつもやまず通はむ明日香の古き都は

山高み川とほしろし春の日は山し見が欲し

秋の夜は川しさやけし朝雲に鶴(たづ)は乱れ

夕霧にかはづは騒ぐ 見るごとに音のみし泣かゆ

いにしへ思へば明日香川 川淀さらず

立つ霧の思ひ過ぐべき 恋にあらなくに

 

明日香が栄えていたころの古き良き都の四季折々の麗しき大自然への

思いは明日香川に立ち込めた深き霧のように消え失せることはない。

山河が荒んでいく様を見つつも心だけは変わらずに・・・と願う歌。

心の在り方を説く歌なんだなぁ・・・

 

打ちくたびれたので、第二部は のちほど

Photo

|

« 麗らかな秋の日 | トップページ | 和歌劇 「月と黄金」 その2 »

俳句・短歌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 和歌劇「月と黄金」:

« 麗らかな秋の日 | トップページ | 和歌劇 「月と黄金」 その2 »